出産レポ④【エッセイ】

朝は早めに目が覚めた。昨日起こったことは夢ではない。私は破水しているのだ。ぶかぶかな特大サイズのナプキンが股にあったからだ。

目覚めていつお通り、顔を洗ったり、歯を磨いたりしていた。そうすると朝ごはんがはこばれてきた。

ああ！勝手にこんなに立派な朝ごはんが運ばれてくるなんて！自宅ではそうもいかない。私が早めに起きて、間抜けに寝ている旦那をよそ目に朝ごはんを作り、作り終えたと同時に旦那を起こす生活をしていたのに、自動でご飯が出てくるなんて。

私は感激しながらご飯を朝から食べていた。普段よりも心なしか美味しい気がする。

相変わらず羊水は流れっぱなしだった。量的に言うと、生理2日目くらいの感じだ。しかし、特大ナプキンをつけている為、安心感はある。

朝ごはんを食べ終わり、携帯を扱いながらベッドでゴロゴロしているとナースコールがなった。無線機のような応答する部分に向かい、私はぎこちなく、はいとだけ答えた。

朝8時に院長に診察してもらうので準備するようナースコール越しに言われた。

院長が？このど年末に？院長は働き者だなあ。てっきり院長たるもの年末年始は家でゴロゴロしているとばかり思っていた。院長も率先して出勤しているなんてと変に院長を見直していた。

再度、昨日、いきなり股に指を突っ込まれた部屋へ行き、今日は院長の診察を受けた。昨日は気づかなかったが、そこは分娩室らしい。

んー。まだ子宮口は開いてないねと呑気に言われた。

じゃあ、まずは陣痛促進剤を飲み薬で摂取していきます。そこで陣痛が進んだら、最終的には点滴で陣痛促進剤を打っていきますね。と説明された。

同意書にサインをし、陣痛促進剤の錠剤を飲み込んだ。

そうすると、部屋へ戻るように言われた。

言われるがまま部屋に戻った。

破水したからといって、すぐに赤ちゃんを産むわけではなく、まずは薬で陣痛をおこしていくらしい。

とりあえず、ベッドに寝っ転がり、友達と妹に、破水で入院なう。と呑気にLINEした。

ああ、暇だ。

陣痛促進剤を飲んだからといってすぐに陣痛が来るわけもなかったので暇だった。

暇だったので余計なことばかり考えてしまう。

今日は12月30日。ふるさと納税で頼んだ蟹を家族集まって食べる予定だった。

蟹は私の好物。高いので年末のこの時期にしか食べれない。

ああ、今日はみんなカニを食べるのか。

そんなことを思っているとうっすら生理痛のようなじんわりとした痛みがきた。

まだ全然我慢できる。