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そのブラジリアンワックスサロンを営むオーナー女性とは次第に仲良くなり、たまにそのサロンオーナーと飲みに行っていた。
「今日は早めにお客さんの予約終わったから飲みに行ける!」
などと言っていて、定時で上がれたことがほとんどない私にとっては、そこも羨ましかった。
酔っ払った時にサロンオーナーに年収をそれとなく聞くと、500万ほどだと言っていた。
しかし、それも飲みの経費など引いた値段なので自由にできるお金はもっとあるのだ。
すごく彼女がキラキラして見えた。
次第に、私もこうなりたいと思い出した。
側から見れば、キラキラな生活を見せびらかしているインスタの港区女子に憧れるようなものだが、当時の私は、そのキラキラを間近に見ていると、そのキラキラに飲み込まれていった。
転職したい、仕事を辞めたいと思いつつも、今の仕事以外何もしたいことがない私には好きな事で稼ぐ彼女が眩しく見えた。
年齢がそんなに変わらない私にとって、彼女は自分がなり得る近い理想だった。
さっそく、ネットで起業について色々調べた。
起業計画書を書いた方がいいことや、まずはやってみるのが正解だとか、いろんな情報がありふれていた。
そこで、信用していたサロンのオーナーのお姉さんさんに、私もブラジリアンワックスで起業してみたいと相談した。
すると、お姉さんはとても喜んでくれて、仲間ができてとても嬉しいと言ってくれた。
私も、始めることにして本当によかったと思った。
ブラジリアンワックスは起業するのに初期投資が少ない。
光脱毛なんかだと機械の費用が何百万とかかるが、ブラジリアンワックスだと10万もあれば事足りる。
初期費用が少ないのは魅力的だった。
お姉さんには1日2組くれば約1万円だし、それが毎日あればそれだけで、月収30万だよ!
と、言われて、私はそれをまんま真に受けた。
今考えると、その計算はかなり愚かな計算式であった。
ブラジリアンワックスのサロンをすると決めてからは早かった。
ブラジリアンワックスで使う商材は、お姉さんが愛用してる商材を使うことを決め、その商材のメーカーで資格もとった。
普段、休みの日は本当に体を休めるためにずっとゴロゴロしていたのに嘘のように動ける。
資格を取るために他県にまで飛行機で行ったりしたし、資格取得費用を捻出するために欲しい物も我慢した。
起業に役に立ちそうな本は片っ端から読んだ。
普段なら絶対読まないホリエモンの本も読んだ。
しかし、今では本の内容は一行も1フレーズも覚えていないが。
今思えば、本もネットの記事も自分に都合の良い記事しか読んでいない。
成功体験や、自分の背中を押してくれるような記事しか読んでいなかった。
失敗系の体験談は、この人はこういう弱気な気持ちがあったからダメだったんだ!といつになく前向きな自分はそう考えていた。
友達数名にも起業することを伝え、お祝いまでもらった。
今となっては大変申し訳ない。
そして、マンションの契約も初めてした。
今までずっと実家で生活していた為、マンションの契約もしたことなければ、電気ガス水道の料金も払ったことがなかった。
もう、後には戻れない。
会社にも仕事を辞める事を伝えた。
有給なんて1日も使わせてもらったことがなかったので丸々40日間残っていた。その為、約2ヶ月ほどは会社所属で、給料日がもらえるので、なんとかなるだろうと思っていた。
美容系サイトにもお金を払って掲載してもらい、そこで予約も受けれるようになった。
しかし、現実は予約は入っても1日MAX3人程度。0人の日もかなりある。
しかも、今日は予約が5件も入ってる!と喜ぶと、キャンセルされたり、無断でキャンセルされたりもした。
電話が入っても、どうでも良い営業の電話だけだった。
予約が来ても、次に来てくれる、リピーターは全体の1割もない。
まあ、始めたばっかだからこんなもんだろうと呑気に構えていた。
まだ、会社の給料も入るし。
しかし、なかなか予約が入らない。
1人来店で約5000円程の儲けにしかならない。
毎日定期的にに2組ほどくればなんとかなるが、そんなには来ない。
日に日に、どうしようと思ってきた。
すると、もう、今では日本を撤退してしまったグルーポンという割引チケットサイトから営業の電話がきた。
あなたのサロンをウチのチケットサイトに掲載しませんか?
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