手紙を書くということ
私は、ここ数年、ずっと、小学生の時からの友人数名と手紙のやりとりをしている。
無論、手紙のやりとりをしている人たちのLINEの連絡先も電話番号だって知っている。
それなのに、なぜ、タイムラグが発生する手紙でやりとりをしているのか。
LINEの方がタイムラグなく、相手へ確実に自分の伝えたい事が伝わる可能性が高い。それに、メッセージを相手が読んでくれたかどうかも分かる。
手紙はちゃんと届いたか、相手が読んだかさえ返事が来るまでわからない。
しかし、それが、楽しいのである。
まず、送る時にどんな便箋やポストカードに書くか相手の顔を想像して選ぶ。その次にどの筆記具で文字を書くのかを考える。
ボールペンなのか、万年筆なのか、はたまた筆ペンなのか。
ペンの種類によっては楽しげに、悲しげに、誇らしげに、いろんな表情がペンを使って出てくる。
その次に色は何色なのか。特に、私は万年筆で手紙を書くことが多いため、インクの色もかなり迷う。季節に合わせた色のインクや、最近買ったばかりのインク、便箋との相性が良さそうなインクなど、選ぶのがとても楽しい。
季節のインクはいろんなメーカーから販売されている。今だと春なので、セーラーから出ている夜桜という落ち着いたピンクや藤姿という渋い紫色のインクで書くことが多い。
手紙を書こうとしている段階でたくさんの選択があるが、それがどれもこれも楽しい。
手紙に書く内容は大したことじゃなくても、とても楽しい。
そして、日常の些細な出来事を手紙にしたためる。
書いたあとは、なるべく綺麗な字で宛名を書いて、切手を貼る。
この切手選びも楽しい。
たくさんの切手が季節ごとに販売されている。この切手選びも手紙を送る時の楽しみの一つだ。
郵便局のホームページに発売されている切手のオンラインショップをみてみるとわかるがたくさんの切手がある。
可愛いイラストのものはすぐさま売り切れてしまう。
手紙をだす人は減っていると聞くが、切手の売り切れ具合を聞くとそうでもないのかもしれない。
また、手紙を受け取った時はとても嬉しい。
いつもはDMや茶封筒の会社や市からのお知らせくらいしか入ってない我が家のポストが華やかになった気がする。
手紙はどうなるのか
昨年、私の祖父が亡くなった。83歳くらいだったと思う。私と祖父は折り合いが悪かった為、そこまでの思いいれはない。
祖父が亡くなった後、祖父の部屋の遺品を整理していたときに、30年以上先に亡くなった、祖母の私物も祖父の部屋から見つかった。
見つかったものの大半は手紙だった。
筆で書かれた達筆な文字は現代っ子な我々家族にはなんと書いてあるのかよくわからなかった。
しかし、おそらく、病気の祖母を心配する文言が読みとれた。
相手の住所や名前も手紙なので無論書かれていた。
母は、この手紙を初めて見つけたそうだ。
そして、こんなに心配して手紙をくれていた人たちに対して、今までの感謝を伝えたいと言い出し、手紙をくれていた数名にお礼の手紙とちょっとしたお菓子を送っていた。
そんな母の様子をみて、私は、もしかすると、今手紙のやり取りをしている私の友達もお互いに何かあったときにその家族が教えてくれるのではないかと思った。
現在、スマホを使用している人でロックをかけていない人は少ないと思う。
スマホでのやり取りであれば、自分の個人的なやり取りを他人にみられることはない。
しかし、その一方で自分や相手に何かあった時、スマホの中にしか情報がない場合はお互いに状況を知る術がない。
そんなときに手紙のやり取りが残っていれば、家族が知らせてくれるかもしれない。母が実母の手紙を読んでそうしてくれたように。
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